令和3年 開教記念日会長挨拶

 希心會の69年の歴史を振り返ってみると、まさしく有機体として新陳代謝の連続であったと言えます。希心會開教と同時期に発足した小川支部は、現在も新たな支部長を迎えしっかりと行を続けています。開教以来確認できる範囲では、この69年間に44の支部が生まれ、中にはその役目を終えた支部もあります。そして、現在は昨年新たに大阪の地に発足した三田支部を含めて22支部となっています。人の一生に生老病死があるように、すべてのものは変化し、存続し、あるいは消滅してゆきます。お釈迦様は、仏道はまずこの理(ことわり)を認識することから始まるとされています。今の世の中のように地球環境が大きく変化し、天変地変と私たちが呼ぶ大災害が頻発し、世界中を巻き込む悪疫が流行し、人々の生活が、心が影響を受けてゆくという中にあって、「物事は変わらない」と思うことはまぼろしであり、まさしくお釈迦様の教えの「すべてはうつろいゆく」ということを実感せざるを得ません。

 一方、昭和28年に発足した希心會は、その時代、時期により行を変えてきているわけではありません。もちろん御山修行のやり方や、運営上の決め事はその時々に合わせて変えていますが、先祖供養を行い、悪因縁を洗浄し、他の人も自分自身も救って行くという行の基本はまったく変わりません。それは、「変えなくてもよい」やり方だからです。会長が代わっても、支部が変わっても、希心會の行は69年前と変わらず、この先も同じでしょう。すべてが変わって行く世の中にあって、このように開教以来の行を変えないで続けてこれたということは、希心の法華経が正しく、そして69年間初代会長夫妻の志をしっかりと受け継いで来た者たちがいたということであり、今も同じ思いの者が大勢いるということだと思います。
 
 この様に行を変えていない希心會ですが、毎年ほんの少しづつではありますが成長しています。この激動の時代にあって、成長し続けているということ自体希有なことと思いますが、もちろん開教以来ずっと順風満帆で拡大してきたわけではありません。この間には多くの苦労、危機もありました。そして、これからも様々な苦難があると思います。本日皆さんとあげた経文順序をお聞きした際の普賢菩薩の御詞にも、それがはっきりと表れています。
 「尊キ法華経発祥ノ日ナレバ 各自各自初代会長始メトシ 先人ノ苦労確ト心ニ置キ 自ラコノ苦難乗リ越エント 心新タニ誓イシ日トナシ申セ」
 
 現在の会員の皆が、日々希心の法華経を行ずることができているのは、開教以来この「希なる心の會」の行を信じ、守り、継承してきたからであり、今行をしている私たちも、お経巻にあるように難行苦行を乗り越え、菩薩行を行い、次の世代にこの希心の法華経を正しくつなげて行く使命があります。『提婆達多品』には「我釋迦如来を見たてまつれば、無量劫に於て難行苦行し功を積み德を累ねて、菩薩の道を求むること未だ曾て止息したまわず。・・・是れ菩薩にして身命を捨てたもう處に非ることあることなし。衆生の爲の故なり」とありますが、この志と使命は、「釈迦牟尼世尊の説かれた尊い妙法蓮華経に帰依し、自ら各家庭の御先祖を供養すると共に、菩薩行を実践することにより、各家庭の幸福、国家の安泰、世界平和の実現を期する」という希心會の開教の精神と同じです。
 
 日々生きづらい時代、行じ難き世ですが、変わらぬ希心の法華経を正しく行じながら、共に乗り越えて行きましょう。大変な時、難行苦行だからこそ、乗り越えた時に得るものは大きいはずです。「此は爲れ難事なり 宜しく大願を發すべし」(『見寶塔品』より)とあるように、私たちは世の為人の為、大きな祈願を成就させるためにこの難行を行じているという誇りをもって、これからも全国津々浦々で同じ志を持った仲間と共に行じ、前進してゆきましょう。 合掌


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